「プールの匂いがする」
■なつのかほり
夏を思わせるプールの消毒液の匂い。
嗅ぐと「プールの匂いがする」と口をついて出てしまい、強烈なノスタルジーの沼に落とされます。
まあ実際は、消毒液の成分(次亜塩素酸ナトリウム)が、人間の身体から出る汗やら尿やらと結合して出る匂いなので、若干の汚さを帯びているのですが・・
実際にこの匂いを嗅いだ時って、プールがそこに無くとも「プールの匂いだ」と思ってしまいませんか?
焼きそば、たこ焼き、お好み焼きのソースの匂い。
夏の外で嗅いだ時にはもう、近くで祭りでもやってるのかなと思ってしまいます。
ソースの匂い自体は、もう"ソースの匂い"以外の何物でもないのですが、これもまたお祭りで嗅いだという記憶に起因して、つい「お祭りの匂い」だと思ってしまいます。
線香の匂い。
お線香の香りを嗅ぐと田舎のおばあちゃんの家や、お墓参りの思い出。
あるいはうだる暑さの中、部屋でゴロゴロしながら嗅いだ蚊取り線香の匂い。
例え冬に線香の匂いを嗅いだとしても、思い出されるあの夏の日たち。
夏には色んな匂いがありますね。
少年時代。
夏休みの思い出がめくるめくフラッシュバック。
セミの鳴き声。
自転車で駆け回る河川沿い。
溶けたアイスクリーム。
彼方から聞こえる5時の鐘。
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さて、現実に話を戻しますが、
このように
消毒液の匂い → プールの思い出
ソースの匂い → お祭りの思い出
線香の匂い → おばあちゃんの家、お墓参りの思い出
など、臭いに起因して昔の記憶や思い出が呼び起こされることを
『プルースト効果』
と言います。
ぼくは友人と海に行った時に、流れ着いた流木で焚火をしていたので、
木が燃え焦げる匂いを嗅ぐと海を思い出します。
夏に限ったことではなく、
例えば 昔付き合っていた人が付けていた香水の匂いを嗅いであの頃を思い出す とかそういうこともあるみたいですね。
ぼくですか? 今はぼくの話してないんで。今ぼくの話関係ないんで。
明日からもお仕事がんばろう。